コロナ対策について改めて初心に戻って考えてみる

 これまで東京や大阪等の大都市が中心だった新コロナウイルスの感染が、デルタ株の登場とともに全国的に広がりつつある。特に7月中旬位から『延焼』が広がっているのは偶然かも知れないが、オリンピックの準備と開幕(にともなう連休)、夏休みの始まりと重なっている。個人的には、オリンピックによる直接的な影響(来日関係者等による直接的な感染拡大)は限定的だったと思うが、オリンピック×連休×夏休みのトリプルコンボのメッセージで外出機会を促進したことは間違いないだろう。なお、直接的な影響は限定的とは書いたが、オリンピック関係者が宿泊していたホテルオークラキャピトル東急等の宴会場で関係者が飲酒しながら宴会をしていたというウワサはあちこちで聞かれているし、明らかにオリンピック関係者(報道関係者含む)と思われる外国人が有明や六本木等で飲酒を含む会食している姿が見られており、結果として感染拡大には(あまり)つながらなかっただけ、と思う。

 

 諏訪中央病院の医師が作成・公開した「説明書」によると、デルタ株の感染力は、これまでの新コロナウイルスよりも格段に強いらしい。私はまったくの素人だが、数分の会話でも感染のリスクがあるということは、現在の「濃厚接触者」(=15分以上の接触者)の定義を早急にもっと厳しくし、PCR検査・隔離を実施する必要があるのではないだろうか。現在の定義のままだと、濃厚接触者ではないと判定された「感染者」が感染を広げるリスクが十分にあるのではないだろうか。

www.suwachuo.jp

 

 さて、ここで改めて我々が何をすべきか、ざっくりと整理してみた。私は素人なので思いつく範囲で列挙してみたが、これで完全ではないだろう。カッコ内は各対策の主な関係者である。

1)感染者数を可能な限り抑える

 1-1)感染を予防する

  ・マスク・手洗い等(市民)

  ・ワクチン(国、自治体、市民)

 1-2)拡散を予防する

  ・水際対策(ウイルスを持ち込ませない)(国)

  ・PCR検査による感染者の早期発見と隔離(国(自治体))

  ・会食・移動抑制等によるリスクのある行為の削減(市民、国(自治体))

2)重傷者数・死者数を可能な限り抑える

  ・医療体制の整備と感染者の治療(国、医療関係者)

  ・ワクチン(国、自治体、市民)

  ・治療薬の開発・投与(国、製薬会社等)

 

 こうやって見ると、現状では国がぜんぜん機能していないことが分かる。

 ワクチンの接種自体は自治体の猛烈な頑張りにより進んだが、そもそものワクチンの調達に国が失敗し、混乱を招いている。

 水際対策はずぶずぶ。言うまでもないが、新しい「株」が入ってきているのは、明らかに水際対策ができていない証拠だ。実際、海外からの帰国者等の話を聞いても、そのいい加減ぶりは目に余る。もはや、完全に人災と言えるレベルだ。

 PCR検査体制はいつまでも拡張されず、十分な検査=感染者の発見ができず、今や東京都等の陽性率は常に20%超となっている。

 会食制限は実施するも、自粛要請に対する補償金の提供がまったく追いついていない(これは自治体の手際の悪さも関係)。

 医療体制の整備はこの2年近くほとんど進まず、現在の「医療崩壊」を招いている。これは医師会の抵抗問題もあるだろうが、海外各国で1年以上前に実施されていた「野戦病院」の議論を今頃しているのは、明らかに失政だ。

 治療薬については、製薬会社等が一生懸命進めているところだ。

 

 一方で、我々市民にできることは限られる。国は期待できないので、自分の身は自分で守るしかない。とにかくマスク・手洗い等を徹底し、可能な限り移動しない、会食等のリスクのある行動をしない、できるだけワクチン接種に行く(体質等により接種できない人は仕方がないが)、ぐらいだろうか。

 一番難しいのは、「移動しない」だろう。生きるためには水・食料を買いに行く必要がある(買いに行かない場合は誰かを移動させて配達させる必要がある)。生活のためにも仕事をしなければいけなく、移動ゼロ=自宅内のみで仕事が完結する人は非常に少ないだろう。子ども・学生は、オンライン授業には限界があるだろう。こう考えると、実現性やモラル等は一旦無視して、究極的には以下のような方向ではないか。

 ・食料品等の生活必需品等の買い物はすべてデリバリーにする(移動者を配達事業者等に集中させて延べ人数を減らす)

 ・学校は休みにする、または完全オンラインにする

 ・会社は休みにする、または完全オンラインにする(上記の実施に必要な最低限の事業者及び人員は除く)

 

 と、ここまで考えると、まさに明日開幕しようとしているパラリンピックの開催、児童・生徒の見学などは明らかにおかしい(個人感情的には、選手には頑張っててもらいたいし、子どもたちにも見てもらいたいが)。高校野球プロ野球Jリーグ、コンサート等のイベントも無観客化または中止だ。選挙も、オンライン又は電話投票にすること等も考える必要がありそうだ。

 せめて最低限でも、濃厚接触者の定義をデルタ株に合わせて見直し、PCR検査の体制を拡充して感染者を徹底的に見つけ出し、隔離して感染拡大を防ぐことが必要だということは、素人でも分かる。

 ウイルスからすれば「自治体」といった線引きは関係ないので、国が国全体に対して方針を出し、実行する必要があると思うが、さて、どうなるだろうか。