オリンピック一考

 ついに東京都に緊急事態宣言が発令されることになり、それに伴い、首都圏の会場で開催されるオリンピック競技は無観客となりました。

 余談ですが、これまで国・東京都はずっとオリパラ、経済維持を意識した政治決定をしてきた結果、いずれの対策も中途半場になり、今の状態になったと言えるでしょう。それに加えてワクチンの遅れも失政だった。欧州に比べれば日本は感染者数等が少ないからまだマシだという人もいるが、その欧州でもう終息が見えてきているのに、日本はまだまだ中火で燃え続けていることを考えると、対策があまりにも下手だったということでしょう。

 国は、次は秋の衆院選に向けて対策していくのでしょうが、さて、ワクチン接種の進捗、オリ・パラ開催等を経てどうなることでしょうか。

 

 コロナ禍のオリンピックは、五輪の意義を考え直すいい機会になったのではないでしょうか。「ぼったくり男爵」に象徴されるような、商業的成功至上主義のオリンピックへの疑問は以前からも言われていたところですが、今回のような「経済か命か」のような状況になって初めて、しっかりと考え直す必要があることに気づいたのではないでしょうか。とはいえ、IOCがその結果どうするか、そもそも改めて考え直すことをするかどうか分かりませんし、開催地に決定しているパリ、ロスは、今回の顛末を見てどうするでしょうかね。なお、パラリンピックはオリンピック後の期間に、これまで実は別組織で開催されてきたので、どのような方針であったのか分かりません。

 

 競技団体・選手側の視点から見ると、やはり世界的な大会であるオリンピックは、当然あこがれの舞台なわけです。が、ビジネス的に成功している競技、選手にとってはそうでないのかも知れません。世界的に活躍するテニスやゴルフの選手は、今回のようなリスクのある大会からは一歩引いた態度だし、野球だって米国のメジャーリーグの一流選手はほとんど参加しません。おそらく、オリンピックに出場することの意義に賛同するのであれば参加するでしょうが、選手から見れば『何の儲けにもならない大会でケガ(や病気に感染)するリスク』を考えれば、リスクを負ってまで出場するモチベーションは無いわけです。言ってみれば、オリンピックは、各競技で開催されている商業主義のワールドカップや世界大会等のひとつでしかない、ということでしょう。

 

 こう考えると、開催都市の市民・国民は大きなリスクや費用を負担し、選手には特別なモチベーションが与えられない現状のオリンピックで誰が得をしているのでしょうか。これまでは、市民・国民がリスクや費用負担以上のメリット=スポーツの感動や経済的メリットがあるということで許容されてきましたが、今回はリスクや費用負担がメリットを大幅に越えてしまったのではないでしょうか。それでも強行開催する某国は、敗戦が分かっていながら戦争に突入していった過去の大戦の時の某国と変わっていない、と言われてますが、本当にその通りだと思います。

 

 さて、飲食店では再び酒類提供が制限されることになりました。秋の選挙では、飲食店のリベンジがあるのでしょうか?某国の首相の思惑通り『国民の雰囲気』は変わるのでしょうか?